名簿の目的とは?
返品制が生み出す無駄を排除し、組織能力の向上を図る「取引制度革新」。
売場担当者任せから脱却し、組織全体でノウハウを共有する「営業革新」。
さらに、これら2つの革新を実現する迷走する流通企業、復活のカギ倒産の憂き目を見た長崎屋そごう、正念場を迎えたD、S日本の流通業が迷走している。
90年代以降、日本はかってない不況に見舞われ、総合スーパーや百貨店は存亡の機に直面している。
消費者の欲求が多様化し、新商品の″旬″の時期が極端に短くなる中、永遠に売れない「不良在庫」と「売り逃し」の2つのロスが流通企業の経営を圧迫する。
返品制に頼り、売場担当者の知恵を活かせないこれまでのチェーン・オペレーションでは、動きの速い市場にはもはや対応できない。
しかし、Sや、S、Yを展開するFなどは、こうした環境下でも成長を遂げてきた。
この差はいったい、どこにあるのか。
流通企業各社の経営トップへのインタビューを通して、この問いに対する一つの答えを出し激変する環境に対応できる新型チェーン・オペレーション、「ディマンド・チェーン経営」がための、ヒト(組織)、情報(コミュニケーション)、モノ(物流)の3つの革新。
ディマンド・チェーン経営は、この「5つの革新」をセットで行うことで、「店舗や顧客の知識を組織全体に環流させ、活用する仕組み」を構築し、市場対応力を強化することをねらいとする。
流通企業の「新型チエーン・オペレーション」ディマンド・チェーン経営という名前から、サプライ・チェーン経営との関わりを想像する人もいるかもしれない。
ベンダー←メーカー←流通企業といった「供給の連鎖」に焦点を当てるのではなく、流通企業内の本部と店舗との間の連鎖に着目する。
これまでもてはやされてきた「チェーン・オペレーション」の問題を克服する形で登場してきたのが新しいチェーンまた、同じ総合スーパーのDとSは経営再建の一環としてこの2000年4月、本社ビルを郊外に移転した。
両社は70年代と80年代に流通業界の覇権をめぐり、お互いライバル意識を剥き出しにし、壮絶に競い合ってきた。
その2社が復活をかけて本社を移転したのである。
総合スーパーにとって本社の移転は象徴的な意味を持つ。
これまで総合スーパーの本社は全国に展開する店舗群の頭脳部分を担ってきた。
本社には選りすぐりの人材が集まり、全社戦略を練り上げる。
そしてそのようなエリート集団が働く職場にふさわしいように、本社ビルは立派な外観を装ってきた。
凝ったデザイン、空を突き破るかのように高く伸びる上階部本社ビルは高度経済成長期の総合スーパーの栄華をそのまま反映したものであった。
東京都港区と豊島区にあったD、Sの各本社ビルもその例外ではない。
Dは板橋区の成増店に、Sの場合は北区の赤羽店内に本社を移転した。
これまでにもD、Sは成長を鈍化させたのは記憶に新しい。
流通業界の主役が交代している成長を鈍化させ、存亡の危機に立たされている。
経営学者のI氏はベストセラーになった『新・経営戦略の論理』(日本経済新聞社)の冒頭で「成功というものには、形がある。
パターンがある。
企業の経営戦略であれ、ゴルフのショットであれ、人間関係であれ、あることに成功した事例の多くにはそれなりの共通点がある」と述べている。
流通企業のトップマネジメントへのインタビューを行った結果、90年代に成長を遂げた流通企業群にも伊丹氏が指摘するような「成長の形あるいはパターン」があると考えるようになった。
では、その形・パターンとはどのようなものか。
両社とも経営再建のため、いくつかの手を打ってきた。
自社所有の土地の処理、優良子会社の株式の放出といったものがそれである。
しかし、ついにその頭脳部分である本社を移転するまでに追いつめられたのである。
総合スーパーの登場する以前に、流通業界の主役だった百貨店にも、かつての輝きは見られない。
99年1月に東急百貨店は呉服屋「白木屋」時代から数えると60年の歴史を持つ東京日本橋店を閉鎖。
また、2000年7月には、そごうに民事再生法が適用された。
これらの出来事は、百貨店の存在意義が根幹のところから揺らいでいることを暗示している。
総合スーパーや百貨店の苦戦が伝えられる一方、80年代から90年代にかけて急成長を実現し、その存在感を高めた企業も存在する。
90年代不況の暗闇を切り開いて成長を続けたS、S、F(Y)といった企業がその代筆者が行った調査でわかってきたことは、かつて日本の流通企業の経営者が心酔した「チェーン・オペレーション論」が時代の要請に合わなくなってきているということである。
そこで本書では新しい時代にも通用する新型チェーン・オペレーションを提唱したい。
その新型チェーン・オペレーションをこれは、ディマンド・チェーン経営と呼ぶ。
ディマンド・チェーン経営とは、『本部で創造される知識に加えて、顧客や店舗が生み出す知恵や知識を組織全体に環流させ、活かしながら成長を図る仕組み』のことである。
現在、巨大化した大手流通企業の多くは、チェーン・オペレーションを採用している。
チェーン・オペレーションは、次のような内容を持つものだった。
一言でいえば、これまでのチェーン・オペレーションは「本部がすべての中心となる業務の仕組み」であった。
チェーン・オペレーションでは、まず本部機能と店舗機能が分離され、その中で本部は立地開発と店舗開発を行い、多店舗展開を行った。
そこで展開されるすべての店舗は標準化されており、そのフォーマットといって、そのことがすべての流通企業に業績回復を約束するわけではない。
多くの流通企業のトップ・マネジメントは、60年代から70年代に経験してきた高度経済成長期の市場が再び現れることはないことを頭では理解している。
しかし、理解はしていてもその変化への対応策が浮かばない、あるいは浮かんでいてもそれを実行に移せないでいる。
その証拠に、多くの流通企業は高度経済成長期に作り上げたものとほぼ同じ仕組み、同じやり方で日々の業務を行っている。
しかし、過ぎ去った市場が再び同じ姿で我々の目の前に現れることはない。
そうである限り、市場での生き残りを果たすには、新たな時代に対応した新しい仕組みを構想し、実行する必要がある。
変化し続ける現代の市場に対応するには、抜本的な変革が必要なのである。
返品制の落とし穴このような伝統的なチェーン・オペレーションは、60年代後半から70年代にいたる高度経済成長期に絶大な威力を発揮した。
当時は需要が供給を上回り、その量的拡大を続けていた。
そのような市場では、伝統的チェーン・オペレーションが最も効果的なビジネスモデルだったので業務を立案し、マニュアルに落とし込むのも本部の仕事であった。
チェーン・オペレーションでは、商品・在庫管理面でも本部が中心であった。
仕入と販売を分離し、本部が仕入を担当し、店舗は販売に専念した。
商品に関する価格設定や各店の棚割について考えるのも本部であった。
各店舗は本部が立案した業務をマニュアル通りに実行し、本部の指示通りに商品の販売を行った。
このように本部と店舗の機能を分離することで、店舗あたりの間接費を削減し、低価格仕入れを実現してきた。
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